神経難病とは
神経難病とは、脳や神経に発症する難病のことです。代表的な神経難病として、パーキンソン病や筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄小脳変性症、多発性硬化症、慢性炎症性脱髄性多発神経根炎、重症筋無力症などが挙げられます。
難病であり、原因・治療法が未だに確立されておらず、完治は難しいこともあります。しかし、医療技術の進歩によって、日常生活を送れるようになったり、悪化を防いだりすることができる治療法が徐々に開発されてきています。
当院では、神経難病の治療にも対応しております。患者さんが健康的な生活を送れるよう、精一杯サポートしてまいりますのでご相談ください。
パーキンソン病
ドパミン神経細胞が減少してしまい、脳からの指令が上手く伝わらなくなることで、身体をスムーズに動かすことが難しくなる疾患です。年齢と共に増加傾向にあります。
主な症状は以下の通りです。
- 何もしていないのに手がふるえる
- 歩くときに前傾姿勢になる
- 動きが遅くなる
- 歩幅が狭くなる
- 表情が硬くなる
進行性核上性麻痺
大脳基底核、脳幹、小脳の神経細胞が減ってしまうことで起きる疾患です。原因は脳内の神経細胞に、異常なタンパク質が蓄積することだと言われています。中年期以降の男性に多い傾向があります。
主な症状は以下の通りで、進行すると「歩行困難」や「寝たきり」を引き起こしてしまいます。
- 後ろに転びやすくなる
- 階段が降りにくくなる
- 認知機能の低下
- 眼球が動かしにくくなる
- むせ込み
脊髄小脳変性症
脳にある小脳を中心に大脳・脳幹・脊髄の神経変性によって生じる病気です。変性が生じる場所によって様々な症状がみられます。脊髄小脳変性症は大きく遺伝性と孤発性(非遺伝性)の2つに大きく分けられ、主な症状に以下のようなものがあります。
- 歩行時と直立時のふらつき
- 指先のふるえ、細かい動きがしにくい
- 呂律が回りにくい
遺伝性・孤発性いずれも進行を抑える薬があります。
筋萎縮性側索硬化症
ALS(Amyotrophic Lateral Sclerosis)とも呼ばれる疾患です。運動ニューロン(運動を司る神経)が障害を起こすことが原因で、全身の随意筋(自分の意識で動かせる筋肉)が痩せてしまう病気です。運動神経の病気なので、感覚の異常(しびれなど)や自律神経の異常は見られません。
初期症状として、以下のような症状がみられます。
- 全身の筋肉にピクつきが出る
- 力が入りづらい
- 呂律が回りづらい
- むせ込み
多発性硬化症
中枢神経(脳・脊髄)や視神経に炎症を起こして、神経組織を障害する自己免疫疾患です。自己免疫疾患とは、本来、外敵から自分を守るための免疫系に異常が起き、自分の体の一部を外敵と見なして攻撃してしまうことによっておこる病気です。多発性硬化症では髄鞘(ずいしょう)が主な標的となり、その結果、髄鞘が壊され(脱随)、神経からの命令が伝わりにくくなります。
またこの病気は脱髄の空間的、時間的多発性を特徴とします。空間的多発性とは、複数の神経障害部位があるということ、時間的多発性とは、何度も症状の寛解と再発を繰り返すことです。症状は脱髄がおきる場所により様々です。
- 脱力
- しびれなどの感覚障害
- 視力低下
- 物が二重に見える など
重症筋無力症
自己抗体によって神経から筋肉への命令がスムーズにできなくなる自己免疫疾患の一つです。少しの動作を行っただけでも疲れやすくなり、様々な部位の筋力低下が発生してしまう疾患です。一旦休むと動作を続けられるようになりますが、それでもすぐに疲れてしまう特徴があります。
症状は以下の通りです。症状は朝が軽くて、夕方以降になると重くなる傾向にあります。
- まぶたが開きにくい
- ものが二重に見える
- 食べ物が飲み込みにくい(嚥下障害)
- 話しにくくなる
- 肩が上がりにくい、立ち上がりにくい(全身の筋力低下)
治療法は薬物療法で、ステロイド薬や免疫抑制薬、抗コリンエステラーゼ薬を用いて症状を軽減させます。また、検査で胸腺の異常の疑いがあった場合は、胸腺・胸腺周囲の脂肪を広範囲に切除する手術が必要となます。
お気軽にご相談ください
当院は神経内科専門医が在籍しております。少しでも疑問や不安がございましたら、お気軽にご相談ください。地域の皆様に寄り添った医療を提供できるよう、気軽にご相談できる、気軽に立ち寄れるクリニックとして貢献してまいります。