パーキンソン病とは
パーキンソン病とは、動作がゆっくりになったり、筋肉のこわばりや震えが起きたりする病気で、脳内のドパミン神経細胞の減少が原因と言われています。厚生労働省では、指定難病に指定されています。
50歳以降の高齢の方に現れやすい疾患ですが、若年性パーキンソン病という、若年層がかかるパーキンソン病もあります。また、パーキンソン病の患者さんは、便秘や頻尿、起立性低血圧などの自律神経症状も伴いやすいと言われています。
パーキンソン病を発症すると、10年後には寝たきりになる、と言われていた時代もあります。しかし、現在は効果的な治療薬もあるため、発症から長い年数にわたり、よい状態を保つことが可能となってきています。それだけに、早い段階からきちんと治療を始めることが大切です。
パーキンソン病の症状
パーキンソン病の代表的な症状は以下の通りです。
- 振戦(しんせん):手や足などがふるえる
- 無動(動作緩慢):動作がゆっくりになる、細かい動作が難しくなる
- 筋強剛:手足の筋肉が硬くなる状態
- 姿勢反射障害:倒れやすくなる
自律神経にも異常をきたすため、頻尿や便秘、睡眠障害、起立性低血圧などの症状を伴うことがあり、また抑うつ傾向、高齢になると認知機能低下など様々な症状がみられることがあります。パーキンソン病は基本的には症状の進行がゆっくりであり、最初から重い症状は現れません。
症状の重症度はⅤ段階(ホーン・ヤールの重症度分類)あり、Ⅰ度は体の片側のみ症状が現れます。しかし、Ⅴ度まで進行すると、車椅子が必要になったり寝たきり状態になったりするなど、QOL (生活の質)にマイナスの影響を受けてしまいます。
パーキンソン病の検査・診断
問診時では症状やお悩みなど、丁寧にお伺いします。問診後には、神経学的診察、頭部MRI検査、血液検査などを行い、総合的に判断します。また必要に応じて、核医学検査と言われるドパミン神経の状態をみる検査や自律神経を評価する検査も行う場合があります。
※画像検査に関しては提携医療機関をご紹介させていただきます。
また、脳血管障害が原因で発症する「脳血管性パーキンソン症候群」や、薬剤の副作用が原因で発症する「薬剤性パーキンソン症候群」の疑いがないかも調べ、診断します。
パーキンソン病の治療
パーキンソン病に対する治療は、初期の段階から薬物療法と運動療法(リハビリテーション)を行っていくことが重要です。薬物治療でパーキンソン病の症状を落ち着かせていきます。
主に、不足しているドパミンを補う「レボドパ製剤」を中心に、ドパミン受容体を刺激することでドパミンと同じような作用をもたらす「ドパミンアゴニスト」などを組み合わせて日常生活に支障がないように調整していきます。また初期から運動療法(リハビリテーション)を組み合わせることで、長期的な症状の改善効果が明らかとなってきています。
当クリニックでは今後、リハビリテーション室を併設していく予定です。その際には是非ご活用ください。
パーキンソン病の治療の注意点
パーキンソン病は基本的には命に関わることのない病気です。ですから治療には、5年先・10年先を見据えた治療が必要だと考えています。薬の量や飲み方を間違えると、ウェアリングオフやジスキネジアと言った運動合併症が出やすくなることも明らかになっています。
また転倒は症状の悪化リスクが高くなります。姿勢反射障害がみられる患者さんには、ご自宅の転倒対策(手すりを設ける、バリアフリーにする、滑り止めマットを敷くなど)もお勧めします。
パーキンソン病診療のかかりつけ医
パーキンソン病は進行性の神経難病であることから特に専門性が高い病気だと思います。診断から治療計画まで、当クリニックの神経内科専門医にご相談ください。