手足のふるえについて
手足がふるえることを「振戦(しんせん)」と呼びます。
「手足のふるえ」でお悩みの患者さんの中には「もしかして自分は脳卒中なのかも……」と心配される方が多くいらっしゃいます。しかし、脳卒中の場合は「手足の麻痺・脱力感」が突然現れる傾向が強く、「手足のふるえ」が現れる方はそう多くありません。(まれに脳卒中の場所によっては、自分の意図していない動きが見られることもあります)
手足のふるえがみられる疾患として挙げられるのは、パーキンソン病や本態性振戦、甲状腺機能亢進症(バセドウ病)などです。その他に、肝臓の代謝異常などによるふるえ、薬の副作用による薬剤性、アルコール依存症の離脱症状として現れることもあります。ふるえにより日常生活にお困りの方はご相談ください。
パーキンソン病について
パーキンソン病とは、イギリスの医師パーキンソンによって報告された、脳内のドパミン神経細胞の減少によっておこる指定難病です。パーキンソン病のふるえは、体を動かしていない時に起きる「安静時振戦」が特徴です。
また、動作緩慢や筋強剛(筋肉がこわばって固くなること)、姿勢反射障害(転びやすくなる)といった症状も現れます。パーキンソン病は指定難病ですが、効果的な治療薬がたくさん出てきています。
本態性振戦について
「両手を伸ばしたときに出る手のふるえ」「首の細かいふるえ」「声のふるえ」が特徴ですが、症状は1つだけのこともあり、複数重なることもあります。パーキンソン病と比べると、ふるえの度合いが小さい傾向にあります。原因は、脳の中でも運動のバランスをとっている小脳の問題ではないかと考えられている説もありますが明らかとなっていません。また遺伝的な要素が関連していることもあります。(ご両親のどちらかに震えがみられていた)
治療は、日常生活に支障がなければ特に必要ありませんが、もし支障があるようなら、症状を緩和する内服薬があります。
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)について
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)とは、1000人に2~6人の割合で発症すると言われている、自己免疫疾患の一つです。女性に多くみられ、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで、手のふるえや頻脈、動悸、疲れやすさ、体重減少、イライラ感、眼球突出などの症状が引き起こされます。
手足のふるえでお困りの方はご相談ください
手足のふるえが見られる疾患は様々です。当院では神経内科の専門医が、患者さんがお悩みである手足のふるえの原因をしっかりと見極め治療いたします。
気軽に相談できる・気軽に立ち寄れるクリニックとして地域の皆様に貢献できれば幸いです。どんなことでも構いませんので、少しでも不安のある方はお気軽にご相談ください。