糖尿病網膜症について
糖尿病網膜症は、糖尿病が原因で網膜が障害を受け視力が低下する疾患です。網膜には細かい血管が密集しています。高血糖状態が続くことで目の中の血管が膨れたり、閉塞したり、破れたりすることで網膜や硝子体に異常が現れます。初期のころは自覚症状がないため、糖尿病と診断された場合は定期的に検査を受けることが大切です。
糖尿病網膜症の進行
単純網膜症
自覚症状や視力低下はありません。血糖コントロールを行いながら、経過を観察して進行を防ぎます。
前増殖網膜症
網膜の毛細血管の流れが悪くなることで、網膜の栄養不足、酸素不足が進行します。網膜に出血やむくみといった症状が現れます。
増殖網膜症
網膜の酸素不足がさらに進行し、酸素を送るために新生血管が発生します。その新生血管が破れることで硝子体から出血すると、視力低下の症状が現れます。糖尿病網膜症の末期状態が増殖網膜症で、治療には手術が必要になる場合もあります。
糖尿病腎症について
糖尿病腎症の原因ははっきりとはしていません。定説では、高血糖の状態が長く続くことで動脈硬化が進行し始め、毛細血管の塊である腎臓の糸球体の細かな血管が壊れ、網の目が破れたり詰まったりすることで老廃物をろ過することができなくなる為とされています。
糖尿病性腎症の病期分類
引用:一般社団法人 日本腎臓学会「糖尿病性腎症病期分類(改訂)」
糖尿病性腎症の第1期・第2期では、自覚症状はほとんどありません。第3期では、むくみや息切れ、食欲不振、満腹感などの自覚症状が現れます。第4期・第5期では、顔色が悪い、筋肉や骨の痛み、吐き気や嘔吐、腹痛などの症状が現れます。第3期以降になると、良い状態に戻すことはできず、進行を遅らせるための治療となります。第2期までに糖尿病性腎症を見つけ、治療を開始する必要があります。
糖尿病神経障害について
糖尿病神経障害とは、高血糖による神経細胞の変化、動脈硬化による神経細胞への血流不足が原因で、末梢神経に障害が起こる疾患です。末梢神経には痛みなどを感じる「感覚神経」、身体を動かす「運動神経」、臓器や血圧などをコントロールする「自律神経」の3つがあります。
糖尿病神経障害の初期症状
- 足先がしびれている
- 足が冷える、または熱くて寝るときに布団から足を出す
- 手足の感覚が鈍く感じる
- 足の裏に紙が張り付いているような感覚がある
- 坐骨神経痛などの、神経痛が起こる
- 安静にしていても足がつることがある